怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
怯えるな。ごめんなさい
今朝も米の朝食が並ぶ。日本人は米だ米。
ITなんて横文字の仕事して男の俺だって惚れそうになるイケメン柊ちゃんはコテコテの日本男児。
「冬は袢纏が一番」
嬉しそうに着込んでこたつに入る柊哉を見た時、失恋したぐらいショックだった。
「お前、昔からギャップ満載だよな」
「それは、人が勝手な想像するだけで俺は最初からこうだ」
俺も米の朝食が嫌なわけじゃねぇ。
あれだな。米になれると海外で辛いからってのが最初だったかも。
立ち上がりご飯をよそおうと炊飯器を覗くと米がない。
「俺のご飯がねぇ」
「お前、パンだろ」
そんな殺生なぁ…
そうだ。あれがあった。
棚の中をゴソゴソと探し見つけ出したホットケーキミックス。
キッチンでシャカシャカと混ぜている俺に
「瑛太、芹沢に俺の事を言うなよ」
「芹沢ってあの怪しい女か」
「怪しいには理由がある」
フライパンにホットケーキを流し込むとキッチンには甘い香り。