怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
平気で枕替わりに王子の膝に寝転がるあたしが
肩がちょっと触れただけでドキッとする。
話しながら視線が合うとどちらからともなく視線を逸らす。
フッ
ㇷㇷㇷㇷㇷッ
それがわかって王子もあたしも声を抑えて何度も笑う。
「美祈と何してたの?」
ここで話す雰囲気じゃねぇなと言いながら座敷童スタイルで一緒にスポーツジムに行った話しをしてくれた。
ランニングマシーンに乗せどんどんスピードをあげていくと必死になって走る座敷童がすごく可愛いくて面白いとか
トレーニングマシーンで重い負荷をつけて足掻いている姿もやっぱり可愛くて面白いとか
息苦しくて熱いから自らウィッグとマスクとらせてくださいって言ったとか。
確かにここで聞いて爆笑しちゃいけない雰囲気だけど我慢できずに二人で大笑いをした。
「ジムから戻ったらバーに行くのでお洒落して下さい」
美祈にそう言われたそうだ。
さんざん楽しませてもらったからお安い御用だと久しぶりにどれを着るか鏡の前で考えたらしい。
美祈もお洒落をしますと言っていたからすげぇ悩んだって吹き出していて
「合格ね。ステキです」
「ロッキーも綺麗だ」
2杯目のお替わりでまたグラスをカチンッとあわせ
この夜だけは長くはもたないであろう男と女の時間を心行くまで楽しんだ。