怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
0時を回ると今日は帰ってこねぇつもりなんだと理解した。
「あいつら、こいつの事を忘れてねぇか?」
スース―と寝息をたてて炬燵で眠るマコを見つめる柊哉。
ったく風邪ひくっつうの。
自分のベッドというわけにも瑛太のベッドというのも何だな。
ソファーのリクライニングを調整するとこたつをずらして抱き上げる。
「ったくガキかよ」
客布団なんかねぇぞ。
考えていると玄関のドアがあいた。
帰って来た。
起こそうと思うがぐっすり眠っていて可哀相な気もする。
「柊ちゃん、これマコの布団」
毛布と掛け布団をわざわざ。
本当にわざわざ持ってきた。
「俺のベッドじゃいくらこいつでも気にすんだろ」
「お前が帰ってくりゃ済む話しだと思うが」
「週末ぐらい一緒にいてぇもん」
話しは済んだとさっさと3階へ向かって足取り軽く出て行った。
やれやれと思いながら
「枕がねぇじゃん」
こいつは、堅い枕がいいっていってたな。
俺は人がいいんだと思った。
お人よしだって事に気が付いた。
わざわざ本を積んで高さを調節するとその上にタオルまで置き仕上げにバスタオルでくるんでやってんだ。
「くそっこの珍獣め」
乱暴に毛布と布団をかけると部屋に入って眠った。
そんな俺の親切心も無視するかのように
翌朝、「いくら何でも硬すぎだから」
そう文句を言うのがロッキーだ。