怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】


あいつらも俺らも


いやここで俺らとロッキー犬とひとくくりにするのは心外だが仕方ない。


まぁどっちも週末の過ごし方が定番化してきた。


ロッキーの布団と毛布もなんでだか俺の部屋のクローゼット。


瑛太の部屋は機材が多いから仕方ない。


いろんなことを受入れつつ


あきらめつつ生活していたがある日瑛太がものすごくナーバスな顔を見せた。


喧嘩でもしたか?


アラスカでの撮影で約1ヵ月半不在になると聞いたのはつい一昨日。


それは芹沢も了解していて頑張ってきてと言ってくれたと聞いていた。



仕事で何かあったんだろうか。


今まで見たこともない瑛太だ。



そして人生で最大の悩みだ。


そう言って何度も吐き出される溜息



「どうした」


「俺、女いなかった理由がわかった」


「何だよ急に」


「迷っちまうんだ」


1人であれば、どこへ行こうか何日いようが問題ない。


やりたい仕事があればそこへ行きシャッターを切る。


だが、相手がいるとなればそこで迷いが起きるというのもわかる。



「どこの予定」


「フィンランド」


「期間」


「契約は1年。でも行っちまったら絶対にもっと長くなる。まぁ決心して行くにしても準備もあるからアラスカ行ってから一度戻ってくるけどさ」



瑛太は仕事が終わっても北欧に残ってもっと撮り続けたいのか―――。





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