怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
「理由って何だよ」
「同じマンションって事が俺にバレてないと思ってる」
プッ
柊哉がこれまでのいきさつを話し始めた。
それであの不審な行動かよ。
瑛太もまた昨日の行動の可笑しさを説明していると
ホットケーキにひっくり返すサインの小さな穴が開いてきた。
「本人は一生懸命だから、協力してやってくれ」
ブワッハハハハ
「柊ちゃん笑わせるから失敗したじゃん」
フライパンのふちに無残な破片。
フライ返しで破片をどけて無事な部分の焼け具合をチェック。
「とにかく、本人が言うまで協力しろ」
「言ってやったらあんな行動しなくていいだろ」
「いや、真剣だから面白い」
そう言って笑ってたけど彼女の事だからきっと思い悩んだと思う。
可哀相だろと同意を求める。
別に同棲してるわけじゃないし問題ない事だけど
どうやら真剣に悩むタイプなんだろう。
「俺に知られているのといないのとじゃ違うんだと思う」
敷金礼金に引っ越し代。
新入社員じゃ厳しいだろう。
「わかった。会う機会もそうねぇと思うけど言わねぇよう気を付ける」
「笑うのは部屋まで耐えろ」
柊哉は可愛いよなって笑いながら味噌汁の豆腐を口に入れた。