怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】


焼きあがったホットケーキとインスタントコーヒーが瑛太の朝食。


栄養バランス的に柊哉に劣り過ぎると少々不満。



「なぁ。今、可愛いっていっただろ。昔なら言わなかったと思わねぇか」


焼き魚に箸をいれていた手を止めた柊哉は少し考えた後


「言わなかったかもな」


「見た目が可愛い子がすると可愛いだったよな」


「かもな」


「歳とったってことか」


「かもな」


「一言で返すなよ。淋しいじゃんかよ」


ホットケーキを頬張る瑛太を見て笑う柊哉。


「でもよ、話し聞いたら俺も可愛いって思ったんだよ。うん」



30ちょい手前の男が2人


怪しいけれど若い女の話をしながらの朝食。




俺らの人生ってこんな予定だったか?って苦笑いだ。



「なぁ芹沢って人、何分頃出るの?昨日何時だった?」


「お前、ほっとけって言っただろ」


「俺の栄養バランスがあまりに劣るからヨーグルトでも買いに行こうと思ってんだよ。その時間をさけてやろうっていう親心だ」


「そっちか」



それでも、もう一度見たい好奇心もふつふつと沸いてくる。


少ししたら柊哉が出てきたんだよな。


食事が終わり、食器をキッチンへと片づけ始めたのを見ると


今ぐらいか?


ポケットに小銭をつっこむと瑛太は部屋を飛び出した。



「瑛太!」


リビングのドアの閉じる音で察知した柊哉は大声で瑛太を呼んだがすでに玄関から外へ出たようで姿はない。




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