怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
たぶん、この間はすみませんでした。
もう一度そう言えたら心配しなくていいような気がする。
やっぱり会わなくちゃ
何日目かで心に決めた美祈の決意。
ここまで思い悩むことこそ美祈という人。
そして、何か思い悩んでいるようだと感じた柊哉は
「芹沢、何か悩みでもあるのか?」
2人だけの朝の時間に声をかけた。
当然の反応をいえば当然の反応。
「あ…いえ…何もありません。すみません」
物凄い勢いで首をふりペコペコと頭を下げてパソコンの電源を入れる。
「俺は相談にものってやれない上司なのか?」
柊哉も少しばかり凹んでしまう。
美祈に言えば、さらに気にすると思うから
柊哉も黙って飲み込む言葉。
座敷童にもじゃ男に課長
些細な事といえばホントに些細。
それでも、喉の奥に刺さった小骨のようだと感じる思い。