怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
大きなバッグを持った瑛太に
「おはようございます。よろしくお願いします」
「おはよう。行こうか」
何だか初々しくも思えるほどに
近づきそうになるとススッと離れ
駐車場の車の前につき瑛太がドアを開けてやると
「あ…すみません。ありがとうございます」
ペコッと頭を下げる。
あまりに丁寧な美祈を瑛太は微笑ましく思う。
荷物を積んで運転席に座ると
「朝飯、食ってねぇだろ?」
「あの…サンドイッチを作ったんです」
いったい何時に起きたんだよ。
チラッと顔を見ると申し訳なさそうな表情を浮かべる。
「水筒がなくてコーヒーがないんです。中途半端ですみません」
「いちいち謝んな」
「は…はい」