怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
車を走らせすぐに駐車したのは、コンビニに寄るため。
美祈も慌てて一緒に降りた。
「どれ?」
「私はこれ」
1つずつ持ってレジの前。
お財布を出そうとしている美祈にも口元が緩み
ポケットから出した小銭で会計終了。
「あの」
「いらねぇ」
「でも…」
「サンドイッチのお礼」
「それは、今日のお礼で」
出口に向かって歩きながら二人とも笑ってしまうのは、会話のテンポが心地よかったからかもしれない。
「おにぎりの方がいいかなぁと思ったんですけど、あんまり触るの嫌かなぁと思ってサンドイッチにしました」
「触るって?」
「おにぎりって ギュッギュッって握るじゃないですか」
視界の隅に見えるその仕草が何とも言えずに可愛らしい。
「俺、全然気にしない」
そんな返事にも良かったと小さな声が隣にいると聞き取れる。
「俺、朝はパン派だから嬉しい」
「私はパンかシリアル派です」
運転しながら食べられますか?って本気で聞かれて苦笑い。