怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
クルクル巻いてあるサンドイッチを手渡しながら
「好き嫌いないですか?それはタマゴです」
「ないよ。大丈夫」
食べやすいよう途中までラップをむいてくれる有難さ。
ホルダーの中のコーヒーのプルタブも
「私が開けてもいいですか?」
そんな事まで確認してくる。
「気が利くな」
誉めてやると驚いたのか一瞬俺の顔を見たのがわかる。
「食べないの?」
「食べてもいいですか?」
「もちろん」
美祈の話す言葉のひとつひとつが瑛太にとっては新鮮そのもの。
国道からすぐの高速に上がりスピードを上げると
「ここでも、食べながら運転できますか?」
「あはは。大丈夫」
「今度は、ツナです」
目的地まで約2時間。
サービスエリアでトイレ行っておいでなんて声をかける俺は、まさに保護者かと瑛太は笑いが止まらない。
高速を下り目的の山間の場所に着くと
「うわぁ空気が美味しい」
こんなに喜んでくれるならいつでも連れてきてやるよ。
瑛太は心の中でそんな事を思っていた。