怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
帰宅した美祈もまたマコへ電話をかけて相談していた。
最初の方こそ飲み会はどこでどんなだったかって話しだったけれど
あのね…今日ね…
そう言って話し始めた内容にマコはにやついた顔が止まらない。
座敷童って呼ばれている事にマコが大笑いしたのも、そこに侮辱の意味はなく愛情のようなものを感じることが出来たから。
それは、話す美祈が笑いながら伝えるからで、男の人の話題を聞く日が来るとは感慨深い。
「行くって言ったのもびっくりだし、本当の私を見せて全部話しちゃったんだよね」
「それだけ信頼出来たってことじゃない?」
「そうなんだと思う。ウィッグがずれるとかってギャグだよね」
明るい声で美祈が笑う
聞いてるマコも嬉しさを隠しきれない。
「でも、病気で髪が抜けたと思ったみたいなの。すごく心配しててね。今でこそズレた時の事思い出すと笑いそうになるんだけどその時は焦ったしもじゃもじゃの顔は心配顔だし胸が痛かったよ」
「もじゃもじゃ?」
「うん、ヒゲがもじゃもじゃしてる」
「美祈はもじゃもじゃさんがスキなの?」
「え?スキっていうかキライじゃない」
「そう?スキな人の話をしてるみたいよ」
「違う違う。もじゃもじゃさんはもじゃもじゃさんよ」
マコもそれ以上は追及しなかった。