桜華の如く~桜散れども~
1.入学式
-平成27年4月6日
この日、片山恋歌は、入学式を迎えようとしていた。暖かな春の日のことで

ある。陽射しも気温も言うことない。ウグイスの鳴き声も聞こえる。

「ヤバい!遅刻しちゃう!」

恋歌は走っていた。がんばって勉強をして、地域のトップ校に見事合格したの

はいいが、入学式早々遅刻とは、笑い者になるどころの話ではない。

「はあっ、はあっ…ついた~!!」

『桜木高校入学式』と書かれた看板の前で、恋歌は大きく息をついた。が、

「誰もいないし。」


先ほどまで新入生でにぎわっていた校門には、もうすでに人影はなかった。

「えーと私は…1組にはない、2組には…あ、あった!」

玄関に貼り出されたクラス表で自分の名前を確認し、教室へと向かう。校舎の

中をゆっくり見て回りたかったが、時間がなかったのでやめにした。

教室に入ると、
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