桜華の如く~桜散れども~
「ねー。あ、私トイレ行って来るね。」

「早く戻って来てよー!」

美結の声を背中で受けながら、恋歌は教室をあとにした。


「えーと、確かトイレは…」

あやふやな記憶を頼りに廊下を進み、

「あったあった!」

用を足して手を洗う、と、

「あれ、さっきこんなところにドアなんてあったっけ?」

男子トイレの横にある、赤いドアが目に止まった。

「おかしいな。こんなに目立つなら気付いているはずなんだけど…」

ドアの前に立ってみた。

「気になる…。開けちゃおうかな…、でもダメだよね…」

さんざん迷った結果、見るだけなら、と開けてみることにした。

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