③愛しのマイ・フェア・レディ~一夜限りの恋人~
「も、申し訳ありません!私退職…」
「そうだ、こうしよう!君」
燈子と社長は、ほぼ同時に顔を上げた。
燈子が言い切るより先に、社長はすかさず燈子の手を握り締める。
「逃げてしまった彼女の代わりに」
「ひゃんっ」
その手を身体ごと引寄せると、深い声で耳に囁く。
「今夜の食事。
君に付き合ってもらおうか」
「へ?」
えええええっ?
「しし、しゃ、社長、それはどういう…」
社長は、のんびりと笑うと燈子からスッと身体を離す。
「いやね?
実は今夜、彼女を誘うつもりでレストランを予約してたんだけど。
君のせいで、どうやらキャンセルになりそうだからね」
「いや、じゃなくてその……
私、クビでは?」
「はっはっは、何をバカな。
機密を盗もうとでもしたのなら、話は別だがね。
赤野君」
彼は再び、燈子に一歩踏み込んだ。然り気無く肩を抱き寄せる。
「女性に押し倒されたのは初めてだ。あの瞬間、私は君に心を奪われてしまったのだから。…断ることは赦さないよ?」
「し、社長?」
蕩けるような彼の笑顔に、燈子は思わず、夢見心地で頷いた。
こんな素敵なオジサマと……だなんて。
一体、どんなロマンチックな夜になるんだろう。
燈子の妄想が膨らみまくっていた時だ。
「しかし」
社長は、燈子の頭のてっぺんから爪先までをまじまじと見ると、小さく溜め息を吐いた。
「それじゃあね…」
「う……ハイ」
燈子は、いかにもバーゲン品の黒のタイトスカートに、これまた50%オフのブラウスの裾を、ごそごそと入れ直した。
「そうだ、こうしよう!君」
燈子と社長は、ほぼ同時に顔を上げた。
燈子が言い切るより先に、社長はすかさず燈子の手を握り締める。
「逃げてしまった彼女の代わりに」
「ひゃんっ」
その手を身体ごと引寄せると、深い声で耳に囁く。
「今夜の食事。
君に付き合ってもらおうか」
「へ?」
えええええっ?
「しし、しゃ、社長、それはどういう…」
社長は、のんびりと笑うと燈子からスッと身体を離す。
「いやね?
実は今夜、彼女を誘うつもりでレストランを予約してたんだけど。
君のせいで、どうやらキャンセルになりそうだからね」
「いや、じゃなくてその……
私、クビでは?」
「はっはっは、何をバカな。
機密を盗もうとでもしたのなら、話は別だがね。
赤野君」
彼は再び、燈子に一歩踏み込んだ。然り気無く肩を抱き寄せる。
「女性に押し倒されたのは初めてだ。あの瞬間、私は君に心を奪われてしまったのだから。…断ることは赦さないよ?」
「し、社長?」
蕩けるような彼の笑顔に、燈子は思わず、夢見心地で頷いた。
こんな素敵なオジサマと……だなんて。
一体、どんなロマンチックな夜になるんだろう。
燈子の妄想が膨らみまくっていた時だ。
「しかし」
社長は、燈子の頭のてっぺんから爪先までをまじまじと見ると、小さく溜め息を吐いた。
「それじゃあね…」
「う……ハイ」
燈子は、いかにもバーゲン品の黒のタイトスカートに、これまた50%オフのブラウスの裾を、ごそごそと入れ直した。