③愛しのマイ・フェア・レディ~一夜限りの恋人~
話は30分程前に遡る。
今日、燈子は上司である大神秋人課長に連れられて、本社ビル最上階にやって来ていた。
通算4回目の『今月のベストプラクティス 社長賞』に選ばれた為、授賞式に同伴して貰えることになった。
初めて入る社長室、燈子は相当浮かれていた。
「大神課長。社長室の絨毯ってフカフカなんですね~」
「こら、みっともない真似をするな」
絨毯の上で足踏みしている燈子を、大神が小声で嗜める。
と、ほぼ同時に三鷹社長が現れた。
その後。
授賞式そのものは滞りなく終わり、2人が業務課に戻っていた、その最中のことだった。
興奮覚めやらぬ彼女は、スタスタ先をいく大神課長の背中を追いかけて、嬉しそうに話し掛けた。
「課長、待ってくださいよ~。
いや三鷹社長のお姿、初めて近くで生で拝見しましたけど、外国の俳優さんみたいに素敵な方ですね~、ジョニー・○ップとか…えっと…」
「……」
しかし、ムッツリと黙り込んだ大神は、返事もせずに足を速める。
「あー、課長。待ってくださいよ課長っ」
彼とは長さが大分違う足で追いかけながら、燈子はハタと気がついた。
_あれ、課長ってば、もしかして不機嫌?_
そういえば…
このセレモニーの様子が昼に社内LANに配信されるからだろうが…
大神課長のスタイルは、髪の毛一本から爪先まで、いつもの5割増でキマッている。
_もしや_
燈子は慌てて付け加えた。
「あ、モチロン、今日の主役は大神課長ですよ?いつもの2倍はセクシーでした。やっぱり若さにはかないませんよね。
今日のネット見たら、社内の女子は課長のトリコ、間違いなし!」
「……そうか?」
今日、燈子は上司である大神秋人課長に連れられて、本社ビル最上階にやって来ていた。
通算4回目の『今月のベストプラクティス 社長賞』に選ばれた為、授賞式に同伴して貰えることになった。
初めて入る社長室、燈子は相当浮かれていた。
「大神課長。社長室の絨毯ってフカフカなんですね~」
「こら、みっともない真似をするな」
絨毯の上で足踏みしている燈子を、大神が小声で嗜める。
と、ほぼ同時に三鷹社長が現れた。
その後。
授賞式そのものは滞りなく終わり、2人が業務課に戻っていた、その最中のことだった。
興奮覚めやらぬ彼女は、スタスタ先をいく大神課長の背中を追いかけて、嬉しそうに話し掛けた。
「課長、待ってくださいよ~。
いや三鷹社長のお姿、初めて近くで生で拝見しましたけど、外国の俳優さんみたいに素敵な方ですね~、ジョニー・○ップとか…えっと…」
「……」
しかし、ムッツリと黙り込んだ大神は、返事もせずに足を速める。
「あー、課長。待ってくださいよ課長っ」
彼とは長さが大分違う足で追いかけながら、燈子はハタと気がついた。
_あれ、課長ってば、もしかして不機嫌?_
そういえば…
このセレモニーの様子が昼に社内LANに配信されるからだろうが…
大神課長のスタイルは、髪の毛一本から爪先まで、いつもの5割増でキマッている。
_もしや_
燈子は慌てて付け加えた。
「あ、モチロン、今日の主役は大神課長ですよ?いつもの2倍はセクシーでした。やっぱり若さにはかないませんよね。
今日のネット見たら、社内の女子は課長のトリコ、間違いなし!」
「……そうか?」