泣き虫とヒーロー ~約束の四つ葉のクローバー~
「ゆき!」
一番の親友であり、
一番のライバル
雪。
私は抜かれそうになりながらも必死に
雪へとパスを回した。
そう、回したんだ。
「奈緒!!!!!」
郁人の叫び声。
そして、私を覆う影。
恐る恐るその方を見ると、
倒れてくる私よりも明らかにがっちりした体型の小学6年生の敵チームの人。
この人、今日のメンバーで一番背が高い164じゃなかったっけ?
冷静に分析をする間にも
ドンドンと近づいてくるからだ。
全てがスローモーションで、
郁人が何か私に叫んでいるが
なにも反応ができない。
ぎゅっと目を瞑った瞬間
どんっ!
ゴキッ。
「っあぁっ!」
「「「「「「「「「奈緒!!!」」」」」」」」」
鈍い音と共に私の呻き声。
朦朧とする意識の中
みんなの声が聞こえた気がした。