泣き虫とヒーロー ~約束の四つ葉のクローバー~
あと少しということで、
自分の足に絡まった私は、前につんのめりに転びそうになって、
「きゃっ!」
痛みを覚悟した私は、
衝撃に備えて、受身をとって目を瞑った時
私を覆ったのは愛しい人の胸の中だった。
「本当に、お前はっ、
なんで、そんなに危なっかしいんだよっ。」
悲痛な辛そうな郁人の声に涙がこぼれそうになる。
「うん、ごめんね、」
涙をこらえ震える声で返事をする。
「本当に、お前は、危なっかしくて、
目なんて離せねぇよ。」
「じゃあ、目離さないでよ。」
私の肩に額を乗せた郁人は、
私の言葉にため息をついて、
「あぁ、目離したくないな。」
そう自嘲気味に笑ったのがわかった。
「目離さなくていいよ。」
こんなに素直になったのは初めてだ。
こんなに弱々しい郁人も、初めてだ。
お互い涙を流しながら抱きしめあう。
「目を離したときなんてない。」
「うん、知ってるよ。
郁人はいつも私を見守っててくれてた。」
「じゃないと、お前危ないだろ。」
「うん、郁人がいないと私危ないよ。」
「知ってる。」
「郁人がいないと何回も転ぶよ。」
「転ぶなよ。」
「郁人がいないと怪我だらけだよ。」
「知ってる。だから気をつけろよ。」
「気おつけても郁人がいないと駄目。」