泣き虫とヒーロー ~約束の四つ葉のクローバー~


今の俺には奈緒の気持ちにも応えたくても

応えられないんだよ、奈緒。

いつの間にか家についていた俺は、

ただいまと小さく呟いてから二階の部屋へと駆け上がった。

一階から聞こえてくる親の声も、

全部無視して

流れる涙を誰にも見せたくなくて、

自分の部屋のベッドに腰掛けて
静かに涙を流した。


守りきれない自分の不甲斐なさ。

守ると言って奈緒を傷つけてしまった俺の力不足。

どんなにあがいても守れない自分の愚かさ。

沢村美咲への怒り

過去の後悔が

涙になって溢れ出した。

けど、

いくら泣いてもこの気持ちは軽くならないのなら

何故人は泣くのだろう。

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