泣き虫とヒーロー ~約束の四つ葉のクローバー~
次、私が目覚めると
視界に映ったのは…
ベッドの隣のソファーで、蹲って涙を流すお母さんの姿。
他には誰もいなくて、
声をかけたいのに、出るのは掠れた小さい声。
中々声は出なくて…
いくら出しても掠れている。
「…お…かあ…さん。」
少しだけ出た声に、
お母さんは、はっとしたように顔を上げると、
私に駆け寄ってきたお母さん。
ヒリヒリと痛むおでこに思わず顔を歪めると、
「奈緒っ。」
涙を流すお母さんに私はお母さんを見つめた。
なんで?泣いているの?
郁人は?
郁人に会いたい。
意識を手放す前に見えた、
血だらけの郁人は、
私の幻覚だと思いたい。