泣き虫とヒーロー ~約束の四つ葉のクローバー~


気づけば、私は眠っていて

目を覚ますと、

お兄ちゃんと麻友と玲奈と理玖くんと春樹君とお父さんとお母さんが立っていた。

私は起き上がれるようになった体を無理やり起き上がらせて、

「郁人は?」

と、近くに立っていたお兄ちゃんの服の裾をつかんで問いかけた。

けど、誰も何も言わなくて…

昨夜の不安が大きくなっていって、

緩む涙腺。

だって、おかしすぎる…

なんで?

なんで郁人はいないの?

「ねぇ、郁人は?
お兄ちゃん、答えてよ。」

お兄ちゃんの腕を引っ張っても答えてくれなくて…

涙が頬を伝って…

私の嫌な予感が確信に変わりそうになって…

「誰か、答えてよ。」

弱々しい情けない声が出た。

郁人に会いたい。

なんで誰も答えてくれないの…?


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