泣き虫とヒーロー ~約束の四つ葉のクローバー~



郁人は?

「郁人に、会いたいよっ。」

ポロリと零れた涙を拭おうとした時、

拭おうとした私の腕をつかんだ

麻友は、真剣な泣きそうな顔をしていて、

「奈緒が自分を責めないって約束できるなら、
会いに行こう。」

力強く言ってきた、

頷こうとすると、

「おい!麻友!」

普段は温厚な春樹くんが、私たちに割って入ってきた。

「春樹は黙ってて!」

「奈緒、奈緒はどんな瀬山でも受け入れられる?

奈緒は、自分の事を責めない?

瀬山は、本当はダメだって言ってたけど、
こんなボロボロの親友放っておけるわけないでしょ!」

玲奈と麻友の力強い声に私は涙を流しながら頷いた。

いつの間にか、春樹くんとお母さんはどこかに消えていて、

理玖くんは近くのひざ掛けを掴むと、

立ち上がろうとする私を抱えたお兄ちゃん。

ドアを静かに開けたお父さんの先から

病室に入ってきたのは、

車椅子を持った春樹くんの姿だった。


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