泣き虫とヒーロー ~約束の四つ葉のクローバー~


無言のみんなは、

ICUのどんどん奥の方へと進んでいく…。

そして、着いたのは奥から3番目の

個室の病室だった。

入った先を見て、

私は言葉を失った。

医療機器に囲まれた郁人の姿。

酸素マスクをして、

頭は包帯でぐるぐる。

足も包帯でぐるぐるで

気づけば私は車椅子から立ち上がって、

ひざ掛けが足元に落ちて、

けどそれすらも気にならないくらい、

急いで郁人の隣に向かった。

郁人の手を掴むと、

いつもの温かさで、

なのに、

目を覚ますことはなくて、

おはようって言って欲しいのに…

その声は聞けなくて…


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