泣き虫とヒーロー ~約束の四つ葉のクローバー~
私のいつまでも差し出している手を青いリストバンドをしている左手で握り返すと、
「よろしくね、奈緒。」
無邪気な笑顔で笑いかけてくれた。
大丈夫。
絶対いつまでも私は郁人を支え続けるから。
「よろしくね、
ちなみにあなたの名前は、瀬山郁人。
私の世界で一番大切な人だよ。」
世界で一番大切な人。
何にも変えられないかけがえのない、
唯一無二の存在。
私の言葉に目を見開くと顔を赤らめた郁人は、
「…僕も…
多分…きっと…君のこと…同じ風に想ってた…。」
郁人の照れ臭そうに告げる言葉に私はニコリと笑うと、
「ありがとう、
私ちょっと小腹空いちゃった!
売店行ってくるね!
ここにいる人たちは皆郁人の味方だから、大丈夫!
郁人の好きだった飲み物とかお菓子も買ってくるからね!」
そういって、足早に私は病室から出た。
パタンと後ろ手でスライドドアを閉めた瞬間
とめどなく流れる涙。
お願い、今だけは泣かせて。
一度流れ始めた涙はなかなか止まらなくて…
私は暫くの間泣き続けた…