泣き虫とヒーロー ~約束の四つ葉のクローバー~


キュッキュッ

ぼんっぼんっ。

「郁人!抜けー!!」

熱気の体育館。

朝練の時間だ。

私は髪をポニーテールで上の方にまとめめ

マネージャー業をこなしながらチームメイトの応援。

朝練が始まる前に回しておいた洗濯機が終わりを告げて

ゼッケンを取り出して洗濯カゴに入れて外に干しに行こうとすると、

「奈緒先輩!」

呼び止める後輩マネージャー

美咲ちゃん。

「どうかした?」

「それ私も手伝った方がいいですか?」

…は?

「え?」

思わず眉間に皺を寄せながらもう一度聞くと、

やはり、

「だーかーらー、私手伝わなくてもいいですよね?
私、郁人先輩見てたいんです!」

とよく分からないことをぬかし始めるこの子。

いや、手伝う気ないなら最初から声かけるなし

「ご自由にどうぞ。」

苦笑しながら、よっこらせとゼッケンが入ったカゴを抱え直すと

ヨッタヨッタと体育館から渡り廊下へと続く階段を慎重に降りる。

今日はいつもより量が多い。

< 23 / 341 >

この作品をシェア

pagetop