泣き虫とヒーロー ~約束の四つ葉のクローバー~


どんなになんでもないと首を振っても

離してくれない郁人。

苦しくて、悲しくて、

切なくなって、

過去に戻れるなら、

過去に戻れる奇跡が起こせるのなら、

階段から落ちる前、

郁人が私を庇えなくなるくらい

うんと遠くに突きとばせば良かった。

私だって、

私だって、

「…私、だって、郁人を、守りっ、たかったよっ、」

ついでてしまった本音。

ずっと、

ずっと思っていたこと。

また、助けられて、

助けられてばかりの私が、

今度こそ郁人を助けられる。

そう思ったのに

助けられなくて、

逆に助けてもらった。


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