泣き虫とヒーロー ~約束の四つ葉のクローバー~


だから…

修了式が終わって、みんなぞろぞろと体育館の出入り口へと向かって行く。

私は慌てて、郁人の腕を掴むと、

近くの人気が少ない階段へと引っ張り出した。

そして、一昔前の流行りの壁ドンをして、

「郁人、最近おかしいよ。

頼ってって言ってるよね?」

と、私より、少し…

いや…かなり高い位置にある郁人の顔を見上げると、

失礼にも素早く逸らされた目。

なんだ、

失礼だな。

そんなに私の顔を見たくないか…。

「こっち見て、郁人!」

顎クイならぬ顎下げ。

私を見下ろす郁人の瞳に心臓が疼いた、

だけど、それにも気づかないで郁人は、

案外、すんなり、

普通に答えてくれた。

「最近、記憶の断片みたいなのが脳内に浮かぶんだ。

迷彩柄のパーカーを奈緒ときて何処かに行ったりとか…。

こたつに潜ってたりとか…

その、えっと、その、」

何故か普通に話してたのが噛み噛みになっていって、

「どうしたの?」

と聞いたら、

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