泣き虫とヒーロー ~約束の四つ葉のクローバー~
愛しい人の心配そうな顔…。
安心したようにボロボロ溢れる涙を拭うこともせずに、
郁人の首に腕を回して、抱きついた、
声を上げて泣く私を、
なにも言わず抱きしめ返してくれた郁人。
思い出したよ、
思い出したんだよ、郁人。
私を抱きしめる腕は、
記憶がない郁人の優しいちょっとだけ緩い力じゃなくて…。
力強い、私をなんでも知っている郁人の腕の力に似ていて、
錯覚してしまう。
〔郁人も思い出したの?〕
そう言いたくなる言葉を飲み込んで、
ぼそりと呟いた、
「四つ葉のクローバーの約束。」
私と郁人の大切な大切な
四つ葉のクローバーに賭けた
大切な約束。