泣き虫とヒーロー ~約束の四つ葉のクローバー~


暫くすると、

震えが止んだ郁人は、

私を郁人から離すと、

優しく私の頬に触れる郁人の手。

愛しそうに、切なそうに
まるで、大切なものを見つめる瞳で私を見つめる郁人に

胸が苦しくなる。

ゆっくりと、噛みしめるように口を開いた郁人は、

































「…煎茶と、煎餅が大好物なバカな幼馴染。」

嬉しそうに泣きそうな顔でそう言った。

目を見開いて言葉を失う私に、

「…いつも危なっかしくて…
階段からよく落ちそうになって、
目を離せない鈍臭い幼馴染。」

唇を噛み締めて、涙を流す私を、

一粒一粒の涙を優しく拭ってくれる郁人。


「…いつも取り繕って笑って…。

一人でなんでも頑張って、

俺がいないと壊れるんじゃないかって、心配になるくらい頑張り屋の奈緒。」

ポロリと零れた郁人の涙を私も優しく拭って…。


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