泣き虫とヒーロー ~約束の四つ葉のクローバー~
私のヒーローとあの子
暫くして落ち着くと、
ゆっくりと空になったかごを持ち上げて
部室へと足を進めた。
時刻は8:25
ホームルームまであと10分
郁人いるわけないよね。
部室へと軽く走って
かごを定位置に戻してから今日のシュケジュールを確認して
髪を整えてから
更衣室のドアの横の丸椅子から鍵を掴み取りながら、
ドアを開けると、
体育館の出入り口付近で重なり合う男女の姿。
女の子が男の子のネクタイを掴んでいて、
明らかにキスをしているシーン。
太陽の光に反射されて光る綺麗な黒の艶やかな髪の毛。
筋肉質の腕には見覚えのある青のリストバンドに、
黒のスポーツバッグを掛けている男の子は紛れもなく郁人。
少し古ぼけた体育館の床に水滴が落ちていく。
なんで、
なんて、タイミングが悪いんだろう。
「郁人…。」
私は郁人とお揃いの赤のリストバンドを無意識に触ると、
鍵をわかる場所に置いて
裏口から外に出た。