泣き虫とヒーロー ~約束の四つ葉のクローバー~
だけど、私もね。
「私も、お母さんとお父さんとお兄ちゃんが大好きだよ、愛してるよ。」
うわぁぁあーんと泣き叫んだ私。
そんな私をもっと強く抱きしめたお母さんとお父さんとお兄ちゃん。
「本当は、寂しいけど、
それ以上に郁人と離れる方が寂しいの、
ごめんね。
一緒にアメリカに行けなくてごめんね。」
涙を流す私に、
お父さんは、
「いいんだよ、気にするな。
奈緒の選択は正しいんだよ。
人は誰しも沢山の大切な人がいるんだ。
だけど、その大切な人にも優先順位がある。
今までは奈緒にとって俺と美緒が一番だっただろ?
それだけで嬉しいんだよ。
大切なものは支えにも救いにもなる。
強くもなれる。
だけど
それと同じようにいつか重荷になるんだ。
奈緒にとって俺たちがそうなってしまったんだろ?
ごめんな。
だけど、俺たちのことは気にするな。
奈緒にとって一番大切な郁人を大切にしろ。
それが、俺たちの願いだ。
勿論、佐和子も信助も同じことを思ってる。
だから、郁人も奈緒も一馬も周平も誰もお前たちを責めないよ。
だって、それほど大切なものが見つけられたんだ。
子供の成長を責めるバカがどこにいる?
だけど約束だ。
絶対大切にするんだぞ。
それが俺たちからの条件だ。」