泣き虫とヒーロー ~約束の四つ葉のクローバー~


そして、郁人の手術が終わって、

私は郁人が入院している間

お兄ちゃんのところで暮らすことになった。

しばらくお見舞いもダメと言われて、

落ち込んでる私。

夜も遅くなってしまって、

お兄ちゃんに家まで行ってもらって学校の物や制服のワイシャツとかを、

持って、待っててくれたお兄ちゃんの車へと乗り込んだ。

車の中はずっと無言で

お兄ちゃんの好きな歌が流れてる。

その歌を聴いてると気づけば着いた

お兄ちゃんと美結ちゃんの住んでるマンション。

中に入ると、

「奈緒ちゃん!いらっしゃーい!」

と、満面の笑みの美結ちゃんに抱きしめられた。

郁人が倒れて初めて笑顔になれた気がした。

「美結ちゃん、一週間宜しくお願いします。」

とぺこりと頭をさげると、

「1週間と言わずずっとでもいいのよー!」

と笑顔で言ってくれる始末。

美結ちゃんの笑顔大好き。

私が通された部屋は、

きっと、美結ちゃんの部屋らしきところで…

「ここ、一馬使わせてくれないから使っていいよ!

遠慮なく使ってね!

学校は、ここから遠いから帰りは私が迎えに行くからね!」

とニコニコしながら、

リビングへと連れられて、

ご飯を出してもらった。

ハンバーグとご飯と豚汁。

すごく美味しくて、

久しぶりの誰かの手作りで涙が溢れて止まらなくなった。


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