泣き虫とヒーロー ~約束の四つ葉のクローバー~


情けなくて、

だけどやっぱり酷いことを言ってしまった罪悪感が俺を占領して、

「…ごめん、俺今日はもう帰るわ。
カバン後で持ってきて。」

そう言って、俺は昇降口の方へと足を踏み出した。

外に出た途端、

大雨が降ってきて、

もう、梅雨か
と改めて実感せざるおえない。

ザーッと降り続く雨の中俺は走ってスーパーへと向かった。

奈緒の大好きな

ハンバーグとエビフライとコーンスープとマカロニサラダを作って、待とう。

ちゃんと謝ろう。

料理はできないことにしてあるけど、

これでも人並みにはできると思う。

俺がたまたま料理を失敗したときに、

奈緒がいて、

失敗した料理を見て笑って

〔郁人料理できないの?
なら、私が頑張って覚えるから安心してね。〕

って言ってくれたのを嬉しくて、俺は今でもできないフリをしちゃってる。

だけど、

びっくりさせよう。

料理くらいできるんだよって、
奈緒に笑って言ってやろう。


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