泣き虫とヒーロー ~約束の四つ葉のクローバー~


そう言うと目を見開く二人。

嫌な予感がする、

そう口を開こうとしたとき、

「…郁人。」

微かだけど、

奈緒の声が聞こえた気がした…

春樹と理玖もピクリと反応するとキョロキョロし始めて、

動悸が酷くなってくる。

声のした方へ走り出した俺。

それと同じタイミングで走り出した二人。

俺たちは、細い路地へと

自然と走っていた。



細い路地に入ると、

怯える笹山を、

奈緒と立花で守っていて、

それを、男五人が囲んでいた。


奈緒も立花も涙目で、

腕は震えていて、

俺は気付けばそいつらに殴りかかっていた。

胸ぐらを掴んで、殴りつけた瞬間気づいた。

「…お前、昼休みのあいつか?」

確か、佐野っつうやつ。

あとの四人は、

サッカー部の奴らで、

一瞬でこの場を理解した。

そういう事かよ。

理玖と春樹と俺と3人で

5人を殴りつけて、

逃げて行った時、

トンッと背中に軽い衝撃が走った。

俺の腹には赤いリストバンドがついた細い腕が回っていて、

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