泣き虫とヒーロー ~約束の四つ葉のクローバー~
それぞれの夢、進路へと歩き始めた私達。
きっとこの道が交わることはないけど、
私達はずっと繋がってるって信じてるから…
「卒業生代表 3-A 瀬山郁人。」
「…はい。」
隣の郁人が泣きじゃくる私の頭を撫でて、
ステージへと上がっていった。
この学校では学年で一番の成績の人が読む予定だ。
郁人は三年間、一度も2位になった時は無くて、
主席のまま三年間を貫き通した。
そんな郁人のスピーチはやっぱりすごくて、
あちらこちらからすすり泣く声が聞こえてくる。
そして、
終盤に差し掛かった時、
「…高山奈緒さん。
ステージへ上がってきてください。」
郁人の声に驚いて顔を上げると
いたずらに笑う郁人。
周りの皆は一斉に私の方を見ていて、
私はそんな視線を避けるように急いで立ち上がって郁人の方へと向かった。