泣き虫とヒーロー ~約束の四つ葉のクローバー~
だけど、
階段の最後で躓いて転びそうになった時、
郁人に支えられてなんとか態勢を持ちこたえさせた。
郁人はそんな私を笑って見ていて、
なに?と聞くと、
いきなり郁人は跪いた。
え?
なに?
そう思ったのもつかの間、
「生涯、高山奈緒さんを幸せにすることをこの場に誓います。
だから、もし俺が立派な医者になって経済的にも余裕ができたら
俺と結婚してくれませんか?」
郁人の言葉に涙が溢れた。
ボロボロ止まらない涙。
私は顔を手で覆って何度も何度も頷いた。
「はい…!
よろしくお願いします。」
そういった私に一斉に上がる拍手歓声。
ぼろぼろ泣く私を抱きしめた
郁人は、
私の右手の薬指に指輪をはめて、
「左手はプロポーズまで待ってて。」
と優しく囁いてくれた。