泣き虫とヒーロー ~約束の四つ葉のクローバー~
深呼吸してから出ると、
『もしもし。』
と大好きな人の声。
「もしもし、お疲れ様。」
『ん、奈緒もお疲れ様。』
いつもと同じセリフを繰り返して、
他愛も無い話をして、
顔を上げると、
郁人とのたくさんの写真。
小さい頃から、お盆の時までのたくさんの写真たちに、
どんどん歪んでいく視界。
『…奈緒?』
心配そうな郁人の声に、
弱音は吐きたく無いのに、
でも、
でも、
「…郁人、会いたいよぉっ…。」
遠距離を始めて初めての弱音だった。
電話はすぐに切られて、
それが余計ショックで止まらない涙。
困らせるってわかってたのに。
怒らせた。
ごめんね、郁人。
その途端ピンポーンと一人暮らしの私の部屋にインターフォンの音が鳴り響いた。
涙を拭って、ドアを確認もせずに開けると、
いきなりデコピンをされた。
デコピンをされたおでこを抑えながら見上げると、