泣き虫とヒーロー ~約束の四つ葉のクローバー~
ここで、私はけじめをつけないといけない。
身体中の細胞がそう訴える。
きっと、今郁人を突き放さないと郁人は幸せになれないし、
好きな人ともすれ違いになってしまう
そして、私はずるずるとこのまま郁人を引きずってしまうから…
悲しそうな郁人の目を見て、
私は無理矢理笑って
「避けてないよ?
いきなりどうしたの?
それに避けてるのは郁人でしょ?
それにこんなところ美咲ちゃんに見られたら
困るのは郁人でしょ。
勘違いされちゃう。
だから私行くね、
バイバイ郁人。
………幸せになってね。」
なるべく嫌われるように、
だけど、嫌いになって欲しくないと思う心が言葉を優しくする。
言葉を失う郁人を尻目に
郁人に背を向ける。
だんだんと歪んでいく視界。
お願いだから最後の言葉は聞こえていませんように。
「郁人、すきだよ。」
ポロリ
一粒涙がアスファルトを濡らした。