泣き虫とヒーロー ~約束の四つ葉のクローバー~
切なく笑ったヒーロー
1人屋上に座り込んで思い出に浸る。
遠くからHR開始のチャイムが鳴り響いた。
空は憎らしいほどの澄み切った青。
私はスクールバッグを枕にして
iPadで歌を聴きながら目を瞑る。
私の大好きな歌が耳元で流れる。
【当たり前のように思っていた
ごめんね
失ってからの後悔はバカな私には失ってからじゃなきゃわからないんだ】
大好きな歌詞に、前まではなんとなく聞いていた歌詞に
今では私は涙が止まらなくなる
郁人。
郁人。
声にならない声が空を木霊する。
もしも時を戻せるなら、
郁人が美咲ちゃんを好きになる前に戻して…。
泣き疲れた私は
そのまま眠ってしまった。
寒いはずなのに何故か暖かくなって、
ろくに眠れない私が何故かこの時だけは眠れて、
愛しい人の香りが鼻を掠めた気がした。