泣き虫とヒーロー ~約束の四つ葉のクローバー~


重い瞼を上げると、

歌は同じ歌を繰り返していて、

それをみて、あぁ、もう何回か回るほど寝てたんだなと冷静に判断をした。

でも寒いはずなのに寒くない。

不思議に思い体の方を見ると、


私は言葉を失った。


なんで、なんで。



私のロッカーに入っている大きめのひざ掛けと、


男物のブレザー。


そして何よりも郁人が念のためと笑って持ち歩いている

黒と白のチェック柄の大きめなマフラーがかけてあった。

これだ。

この匂いに包まれたから私は安心して眠れたんだ。

ボロボロ。

郁人のマフラーを抱きしめて私は静かに涙を流した。



オレンジ色の空に

私の小さな泣き声が切なく響いた。



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