泣き虫とヒーロー ~約束の四つ葉のクローバー~
ヒーローとの幸せな時間とバイバイ
放課後の練習。
いつも以上に熱気に包まれた体育館では、
バッシュの擦れる音とボールを打つ音。
「おいっ!こっちだ!」
パスを要求するたくさんの声。
私はその横で明日の準備を進めていた。
今日はきちんと私が水分を準備したし、
ちゃんとある。
移動用カバンに練習着と救急箱、
必要なものを詰めていく。
マネージャーは地味な仕事が多い。
明日は少しここで練習をしてからバスで北星高校への体育館へとお邪魔する。
そして、
一通り準備を終えて1つ息を吐くと、
「奈緒〜。」
沙織先輩の洗濯物を抱えている姿に慌てて手伝いに行った。
2人で手分けをしながらコーンを並べたり、
ベンチの子たちの練習でダッシュのタイムを計ったりしていると、
「おい!郁人どうした!」
部長の焦った声に私と沙織先輩はいち早く反応した
沙織先輩は目線で私へ行けと送ってきて
私は頷いて駆けて行こうとした時、
ドンっ。
美咲ちゃんがぶつかっていって私はその場に倒れた。
痛む膝を抑えて顔を上げると、
美咲ちゃんが郁人の怪我している反対の足にコールドスプレーをかけようとしていた。