隣の席の矢野くん。
「矢野くんを見てるとモヤモヤして、胸が痛い…」
「だったら――…」
「だけど、矢野くんと話せないのはもっとくるしいの……。矢野くんが、おはようって言ってくれないのが、悲しいのっ…」
握り締める手が、小さく震える。
視界がジワジワと滲んで、矢野くんがボヤけて見える。
声も震えてるし、今でも胸が苦しい。
「矢野くんにっ…避けられるのが…。とって、もっ…辛いの」
こぼれる雫が、床へと黒いシミを作る。