隣の席の矢野くん。


肩より少し長い黒い髪。


ぱっちりとした二重の瞳。


「よろしくね、雨宮さん」


それが、俺の好きな人。


「よろしくね、矢野くん」


そう言った雨宮さんは、控えめな笑を見せた。


きっと、彼女は知らないんだ。


俺がずっと、見ていた事を。



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