月は僕らと。



「...私のこと好き?」

「もちろん」

「...本当に?」

「本当に」


僕らのこの会話は、いったい何度繰り返したことがあるだろうか。


「...お願いだから、嫌いにならないで」


そうして、彼女は必ずそんな言葉を吐くのだ。瞳いっぱいに涙をためて、何度も何度も、僕に懇願する。

僕は、"嫌い" なんて、そんな言葉を君に一度も言ったことなんてない。ましてや、君に嫌われないかと、そんな風に考えてしまうくらいに、僕は君を愛しているというのに。


そうして、僕はその度、堪らなく泣きたくなる。


「嫌いになんてならないよ」

「...ずっと側にいてくれる?」

「ずっと側にいるよ」


そう言って、彼女を力いっぱい抱き締めれば、彼女もまた僕を強く抱き締めた。



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