第二秘書は恋に盲目
よく聞こえないけど、ふたりは何か楽しく話してるみたい。笠原は明るく笑ってるみたいだし、幸せそう。

ほのかな灯りに包まれて、ふたりの視線が何回も触れ合う。それが初恋か!って叫びたいほど純粋で…。
胸がきゅんと締め付けられる。

なにこれ。
ふたりが自然と見つめあってる光景に私がドキドキしてしまう。

何話してるんだろう、気になる。ギリギリまで覗き込んでみるけど、やっぱり会話は聞こえない。

その時だった。
須藤先生が笠原の顎に指を添えてくっと顔を上に向け、ふたりの影が重なったのは。

あ…。
キスした…。

あまりに突然の出来事に、見てはいけないもののようで咄嗟に手で目を覆った。
けど、気になって指の隙間から覗いて見ていた。

ふたりのキスは単純に綺麗だと思った。
階段の間接照明に照らされて、映画のワンシーンみたい。
見とれてしまう。
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