第二秘書は恋に盲目
「さすがに今日、いざ家を出るとなると、緊張のせいですっげー気分悪そうにしてたけど、それでもこうやってここまで来たんだ。

それは、今までの秘密をさらけ出して叱られても良いから、父さんとちゃんと向き合おうって千歳が考えたからだと思ったんだ。

俺はワガママな千歳の行動に散々振り回されて来てるけど、そこに救われもしてる。

父さん、千歳との交際を認めて欲しい」

兄貴が父さんに向かって頭を下げると、千歳も同じようにした。

ふたりに頭を下げられた父さんは、深く深く息を吐き、ゆっくりと口を開いた。

「はぁ…。

千歳はまだまだ子どもだが、相手が孝宏くんときたんじゃ、これ以上反対はできないな。

ふたりとも顔を上げなさい。
私たちは、孝宏くんと千歳の交際を見守ることにするよ」

「えぇ、そうね」

父さんは母さんの肩を寄せ、相変わらずのラブラブっぷりをアピールした。

そんなものを見せつけられた兄貴と千歳は、苦笑いしつつも、お礼と共にもう一度頭を下げた。
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