アナタノコトヲ。
「こんにちは、こちらにどうぞ…。」
「ーーいや、ココでいい。」
「……じゃあお茶でも。」
「俺がお茶を飲みに来たと思ってんのか?」
「……思いませんね。」
綺麗な声。
綺麗な顔立ち。
背も高いし、なんだろう…。
これが、〝オトナノミリョク〟ってやつなのかな?
それに、今大人気作家の神崎海斗さんだろ?
俺には無いもんをいっぱい持っている。
この人から見た俺は、ただの小僧でしか無いよな…。
ーーそれでも、俺は言うけどな。
「あんたさ、もう花菜に近づか無いでくれる?」
「…………。」
「コッチは迷惑してんだ。あんたのせいで、昨日から見たくもないあいつのブサイクな泣きっ面見せられて。」
「……あなた、名前は?」
「翔太だ。山本 翔太。」
「では、翔太くん。あなたは花菜ちゃんの彼氏ですか?」
「……違う。幼なじみだ。」
「ーーなら、先ほどの質問に俺は答える必要は無いね。」
なっ!…んだと、このジジィ⁉︎
「ーー帰ってくれ。」
頭をかきながら海斗サンはそう言う。
「何が海斗サンだ…、あいつなんてこう呼べばいいんだよ…。」
「…んっ?何か言ったかい?」
「待てよ、くそジジィ‼︎!!!」