アナタノコトヲ。



「こんにちは、こちらにどうぞ…。」


「ーーいや、ココでいい。」


「……じゃあお茶でも。」


「俺がお茶を飲みに来たと思ってんのか?」


「……思いませんね。」




綺麗な声。

綺麗な顔立ち。


背も高いし、なんだろう…。


これが、〝オトナノミリョク〟ってやつなのかな?


それに、今大人気作家の神崎海斗さんだろ?




俺には無いもんをいっぱい持っている。




この人から見た俺は、ただの小僧でしか無いよな…。



ーーそれでも、俺は言うけどな。




「あんたさ、もう花菜に近づか無いでくれる?」


「…………。」



「コッチは迷惑してんだ。あんたのせいで、昨日から見たくもないあいつのブサイクな泣きっ面見せられて。」



「……あなた、名前は?」



「翔太だ。山本 翔太。」



「では、翔太くん。あなたは花菜ちゃんの彼氏ですか?」



「……違う。幼なじみだ。」



「ーーなら、先ほどの質問に俺は答える必要は無いね。」



なっ!…んだと、このジジィ⁉︎




「ーー帰ってくれ。」



頭をかきながら海斗サンはそう言う。



「何が海斗サンだ…、あいつなんてこう呼べばいいんだよ…。」



「…んっ?何か言ったかい?」




「待てよ、くそジジィ‼︎!!!」



< 26 / 35 >

この作品をシェア

pagetop