アナタノコトヲ。



ケータイを見ると、今は午後2時らしい。


夏の一番暑い時間だ。



…が、溜まったゴミも捨てないといけないし、


息抜きに散歩もしたい。


久しぶりに、まともなご飯も食べたいし。





側にいた人が1人いなくなる事が、寂しくて辛い事と知っていたのに、俺はまた人生の繰り返し。




仕事に至っても、インスピレーション湧かないし、筆がのらない。


白紙の原稿用紙に1のページ数を書いて破る。
丸める、捨てる。


書いて、破って、丸めて、捨てる。




その繰り返しだ。



前と同じ生活に戻れって言う方が難しいもんだ。




ーーピンポーン……



「ーー!⁈」




毎日なっていた玄関のベルが鳴る。




「………………花菜?」



走ってドアを開ける。



自分の捨てた白紙の原稿で滑ってこけたが気にしない。




ドアノブに手を引っ掛ける。




「ーー花菜…‼︎!!」




久しぶりに開けたドアに光が差し込む。


目に光が入る。

……眩しい。



目を手で覆い隠し下を見る。



黒い革靴。


大きくて、幅も広い。




「……花菜は、こんなに不細工な足をしていない。」



顔をあげる。




「ーーこんにちは。」





ああ。


気に入らない顔だ。


いつも窓越しに俺を眺めて、嘲笑っている顔だ。




「……久しぶりだね、翔太くん。」






















< 35 / 35 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

名もない花に贈る
J I j I/著

総文字数/509

恋愛(純愛)2ページ

表紙を見る
季節風
J I j I/著

総文字数/1

恋愛(純愛)1ページ

表紙を見る
家族じゃなくなった日。
J I j I/著

総文字数/14,202

恋愛(オフィスラブ)18ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop