アナタノコトヲ。


私の道案内で一番近い観覧車に着いた。



「あれ?ここ、水族館じゃない?」



「はい。観覧車に乗りたいんでしょ?ならわざわざ遊園地でお金出すよりこっちの方が断然安いですよ。」



「さすが花菜ちゃん! お金の無駄遣いがない‼︎」



「……早く行きますよ!」





褒められているのだろうか、それとも嫌味だろうか。


クスクス彼は笑ってる。



ちっ。嫌味の方だったか。



私はわざと海斗さんの足を踏んだ。




「ーーいてっ!」



「すみません、わざとです。」



「いいよ、ならしょうがな……えっ⁇」



目をまんるくしてる海斗さん。



「ーークスクスッ」


今度は私が笑ってやった。



海斗さんもやらてたって感じの顔してる。


一本取ったり‼︎



ーーて言うのが私の気持ち♪




「ようこそ!F水族館へ‼︎ ただいま、キャンペーンでカップルさんにはこのキーホルダーが送られるのですが……」





イルカのキーホルダー…。

可愛い…。


ーーじゃなくて!


「私たちカップルじゃ……」

「俺たちカップルじゃないんで。」








……あっ。



「それは、失礼いたしました。それではゆっくりF水族館をお楽しみください。」





「さっ…、行こっか!」






「ーーはい。」







何考えてるの私…。


海斗さんは本当の事を言ってるだけじゃない…。





ーー寂しいなんて、


可笑しいじゃない……。





海斗さんは私の彼氏じゃないんだし…。



< 9 / 35 >

この作品をシェア

pagetop