光のワタシと影の私
コレが私の日常
酷い朝には、上履きに画鋲とかゴミが入っているときがあった。最初は、どうして私がこんな目に遭わなければならないのか、なんて思っていて泣きたくなることもあったけれど、最近はよくもまぁこんな手の込んだ意地悪をする人もいるものだと感心するようになってしまった。
今朝の下駄箱入れには…特に何もされていなかった。
きっと、何かされているとすれば教室の私の机の上か机の中だろう。
まだ高校生だというのにオシャレをしている子たちは多くて、逆に化粧一つしていない生徒のほうが珍しいように思えた。
私は化粧をしてもしなくてもそう変わらないと思えたし、第一化粧して学校に行ったら余計に虐めに遭うかもしれない。
廊下で出くわす生徒はいたけれど特に親しく会話をするような人はいなかったから素通り。
『アイツ、まーた無視だよ』
『ったく、何様なわけ?』
愚痴や文句はもっと聞こえないぐらいの声で言って欲しい。
私が通りすぎる際に、挨拶一つしない私が気に食わなかったらしい女子生徒の集まりから小言が聞こえてきた。いや、きっとわざと私に聞こえるように言っているのかもしれないけれど。
彼女たちは長いつけまつげにアイラインを引いた化粧だらけの顔と、クルクルと時間を掛けて巻かれた髪の毛を手先で弄りながらまだ私のことについて話し合っているらしい。
そんな彼女たちの名前なんて私は当然知らない。
知る必要の無いことは私は基本的に無関心だ。
もう少しで朝のHRが始まるという時間ギリギリに教室にやって来ると一瞬教室内の空気が静まり返ったかのように感じた。
それもそのはず。
私の机を見れば教室内の空気が変わったことに気が付いた。
私の机の上は、ゴミだらけ。
普通に過ごしていてこれほどまでに散らかることはまず有り得ないことだから故意に誰かがゴミをわざわざ置いたらしい。
もうすぐHRも始まることだし、このままにして置くわけにはいかなかったから渋々と通学鞄を椅子に置くと教室に置かれている掃除入れのロッカーから箒と塵取りを取り出すと机の上のゴミを片付けていった。
単なるお菓子などの袋や食べこぼしといった類だけなら片付けるのも片付けた後も楽だったけれど、ゴミの中には土が付いたものもあってそこら辺からわざわざ抜いてきたらしい雑草の類のものもあったから暫くは土の匂いを我慢しなければならなかった。
『…まーた、されてる…』
『可哀想…。誰がやってるのかな…?』
片付ける合間にもヒソヒソとあちこちから名前も知らないクラスメイトたちの声が聞こえてきた。そんな会話をする暇があったらゴミを片付ける作業を手伝って欲しいぐらいなのに。きっと、私を手伝えば虐め対象にされると無意識に分かっているらしく遠くから様子を伺うだけで決して私に声を掛けようとはしなかった。
特に落書きをされてあるわけじゃなかったので、ゴミをゴミ入れに入れてしまえば安心して授業に向かうことが出来る。
高校に行けば虐めから逃げられる、なんて私が甘かったのだ。
元々私はそう積極的な性格をしているわけじゃなかったし、趣味は自分の部屋にこもってインターネットを楽しむことぐらい。
家族からも根暗な性格だと思われているほどだから学校で友達らしい友達を作ったこともないし、休み時間になっても一人ポツンと自分の席に着いたまま読書をするぐらいだった。
さすがに読書だけでは退屈するだろうと思って親から誕生日祝いにiPodを贈ってもらったことを良いことに好きな音楽を聴いていたものの私を虐める子たちの目に止まったらしく取り上げられてしまった。
iPod自体は返してもらったもののソレは音楽を聴く機能を失ってしまっていた。
どのようにして壊されたのか分からなかったけれど、親には転んで壊してしまったと言うしかなかった。
『ごめんね~?たまたま転んで壊れちゃったの~』
私からiPodを取り上げた生徒もそう言っていたけれど、そう転んだからといってすぐに壊れてしまうほどちゃちな造りをしているわけではないことぐらい誰にでも分かった。
だけど、私は何も言い返すことが出来なかった。
ここで言い返せばもっと酷い虐めに遭う。
もしかしたら学校生活を送ることが出来なくなってしまうほどの虐めに遭うだろうと思えたからだ。
中学生のときには勇気が出なくて先生に相談することも出来なかったけれど、高校生になっても止まらない虐めに私は勇気を振り絞って担任の先生に相談してみることにした。
『虐め?…そうか、じゃあ会議で話し合ってみることにするよ』
本当に教師たちの間で私の虐めについての相談がされたとは思えない。だって未だに私に対しての虐めは続いているのだから。
虐めについてのアンケート用紙を配られ、私は迷うことなく虐められている欄にチェックをしたものの虐めをしている特定の人物を見つけることが出来なかった教師たちは頭を悩ませ、結局は何も出来ずに至っているみたいだ。
転んで壊してしまったiPodは自分の部屋の机の中に大事に置かれている。
両親はそれを見つけたのか分からないけれど、新たに最新のiPodを私に贈ってくれた。
またコレを取り上げられて壊されてはたまったものではないから極力教室の中、学校にいる中ではiPodを使わないようにしている。使うとすれば登下校中の中だけで、だ。
『おはよう!朝のHRを始めるぞー!みんな席に着けー?』
担任の活発な声が教室に響くと同時に散らばっていた生徒たちは各々の席に着いていく。
私の近くの席の生徒たちはチラリと私の様子を見てから何の気なしに片手を挙げて先生に向かって口を開いていった。
『先生!提案なんですけどー!そろそろ席替えしませんかー?』
その子は、きっと私の近くの席ということが嫌なのだろう。
少しでも離れた位置の席になりたくて提案したらしい。
私だって虐めから逃れられるのならばこのクラスから別のクラスに移りたいぐらいだ。だけど、クラスが変わったところで虐められることは必須だろう。
中学から続く私への虐めの内容は高校に入ってからますますエキスパートしていった。
今朝の下駄箱入れには…特に何もされていなかった。
きっと、何かされているとすれば教室の私の机の上か机の中だろう。
まだ高校生だというのにオシャレをしている子たちは多くて、逆に化粧一つしていない生徒のほうが珍しいように思えた。
私は化粧をしてもしなくてもそう変わらないと思えたし、第一化粧して学校に行ったら余計に虐めに遭うかもしれない。
廊下で出くわす生徒はいたけれど特に親しく会話をするような人はいなかったから素通り。
『アイツ、まーた無視だよ』
『ったく、何様なわけ?』
愚痴や文句はもっと聞こえないぐらいの声で言って欲しい。
私が通りすぎる際に、挨拶一つしない私が気に食わなかったらしい女子生徒の集まりから小言が聞こえてきた。いや、きっとわざと私に聞こえるように言っているのかもしれないけれど。
彼女たちは長いつけまつげにアイラインを引いた化粧だらけの顔と、クルクルと時間を掛けて巻かれた髪の毛を手先で弄りながらまだ私のことについて話し合っているらしい。
そんな彼女たちの名前なんて私は当然知らない。
知る必要の無いことは私は基本的に無関心だ。
もう少しで朝のHRが始まるという時間ギリギリに教室にやって来ると一瞬教室内の空気が静まり返ったかのように感じた。
それもそのはず。
私の机を見れば教室内の空気が変わったことに気が付いた。
私の机の上は、ゴミだらけ。
普通に過ごしていてこれほどまでに散らかることはまず有り得ないことだから故意に誰かがゴミをわざわざ置いたらしい。
もうすぐHRも始まることだし、このままにして置くわけにはいかなかったから渋々と通学鞄を椅子に置くと教室に置かれている掃除入れのロッカーから箒と塵取りを取り出すと机の上のゴミを片付けていった。
単なるお菓子などの袋や食べこぼしといった類だけなら片付けるのも片付けた後も楽だったけれど、ゴミの中には土が付いたものもあってそこら辺からわざわざ抜いてきたらしい雑草の類のものもあったから暫くは土の匂いを我慢しなければならなかった。
『…まーた、されてる…』
『可哀想…。誰がやってるのかな…?』
片付ける合間にもヒソヒソとあちこちから名前も知らないクラスメイトたちの声が聞こえてきた。そんな会話をする暇があったらゴミを片付ける作業を手伝って欲しいぐらいなのに。きっと、私を手伝えば虐め対象にされると無意識に分かっているらしく遠くから様子を伺うだけで決して私に声を掛けようとはしなかった。
特に落書きをされてあるわけじゃなかったので、ゴミをゴミ入れに入れてしまえば安心して授業に向かうことが出来る。
高校に行けば虐めから逃げられる、なんて私が甘かったのだ。
元々私はそう積極的な性格をしているわけじゃなかったし、趣味は自分の部屋にこもってインターネットを楽しむことぐらい。
家族からも根暗な性格だと思われているほどだから学校で友達らしい友達を作ったこともないし、休み時間になっても一人ポツンと自分の席に着いたまま読書をするぐらいだった。
さすがに読書だけでは退屈するだろうと思って親から誕生日祝いにiPodを贈ってもらったことを良いことに好きな音楽を聴いていたものの私を虐める子たちの目に止まったらしく取り上げられてしまった。
iPod自体は返してもらったもののソレは音楽を聴く機能を失ってしまっていた。
どのようにして壊されたのか分からなかったけれど、親には転んで壊してしまったと言うしかなかった。
『ごめんね~?たまたま転んで壊れちゃったの~』
私からiPodを取り上げた生徒もそう言っていたけれど、そう転んだからといってすぐに壊れてしまうほどちゃちな造りをしているわけではないことぐらい誰にでも分かった。
だけど、私は何も言い返すことが出来なかった。
ここで言い返せばもっと酷い虐めに遭う。
もしかしたら学校生活を送ることが出来なくなってしまうほどの虐めに遭うだろうと思えたからだ。
中学生のときには勇気が出なくて先生に相談することも出来なかったけれど、高校生になっても止まらない虐めに私は勇気を振り絞って担任の先生に相談してみることにした。
『虐め?…そうか、じゃあ会議で話し合ってみることにするよ』
本当に教師たちの間で私の虐めについての相談がされたとは思えない。だって未だに私に対しての虐めは続いているのだから。
虐めについてのアンケート用紙を配られ、私は迷うことなく虐められている欄にチェックをしたものの虐めをしている特定の人物を見つけることが出来なかった教師たちは頭を悩ませ、結局は何も出来ずに至っているみたいだ。
転んで壊してしまったiPodは自分の部屋の机の中に大事に置かれている。
両親はそれを見つけたのか分からないけれど、新たに最新のiPodを私に贈ってくれた。
またコレを取り上げられて壊されてはたまったものではないから極力教室の中、学校にいる中ではiPodを使わないようにしている。使うとすれば登下校中の中だけで、だ。
『おはよう!朝のHRを始めるぞー!みんな席に着けー?』
担任の活発な声が教室に響くと同時に散らばっていた生徒たちは各々の席に着いていく。
私の近くの席の生徒たちはチラリと私の様子を見てから何の気なしに片手を挙げて先生に向かって口を開いていった。
『先生!提案なんですけどー!そろそろ席替えしませんかー?』
その子は、きっと私の近くの席ということが嫌なのだろう。
少しでも離れた位置の席になりたくて提案したらしい。
私だって虐めから逃れられるのならばこのクラスから別のクラスに移りたいぐらいだ。だけど、クラスが変わったところで虐められることは必須だろう。
中学から続く私への虐めの内容は高校に入ってからますますエキスパートしていった。