光のワタシと影の私
友達って…なに?
REIは頻繁にブログの更新をしている時点で分かっていたことだけれど他人とのメールのやり取りも好きなようで時間さえあればいつでも私にメールを送ってくることがあった。
それも、私が学校に向かう登下校中であろうと授業中であろうとなかろうとそんなこと関係なしにメールを送ってくるものだからついつい携帯を取り出し、授業中には特に先生にバレないように気をつけながらREIとのメールを楽しんでいる。
ただ、最近私が頻繁にメールのやり取りをおこなっていることを知った周りの人たちは私の行動が気に食わなかったらしく、早速行動にあらわれるようになってきたのだ。
「ちょっと、良い?」
「アンタ、最近誰とメールしてんのよ?」
「クソ真面目なアンタが授業中でもメールしてるのは分かってるんだからね?」
虐めをしてくる人たちの特徴の一つに集団という特徴がある。
個人個人で虐めを仕掛けてくることはまず有り得ない。
これは、私が中学生のときから学んだことだった。
所詮、人は一人だけでは虐めをすることも出来ないんだろう…。
「ちょっと!聞いてるの?!」
「チョ~、生意気なんだけど!携帯、見せなさいよ!」
ただでさえ近い距離を更に詰められてきた女子生徒の一人が私の制服のポケットに入っている携帯を簡単に手に取り出してしまうと手馴れた手付きでメールの送受信画面を開いていけば宛先に『REI』という文字を見つけると怪訝そうな顔つきになった。
「…ねぇ、このREIって誰?」
「さぁ?ウチの学校にこんな名前の子なんていないんじゃない?」
「!ね、ネットで知り合った子だよ!お願い返して!」
基本的にインターネット上のチャット場で知り合った子とは個人的にメールのやり取りをすることはあったけれど、それはパソコンのアドレスを使ってのやり取りだったから携帯を使って連絡のやり取りをすることはしていなかった。
もしもREIと知り合いになっていた、友達になっていたということが知られれば彼女たちはどう思うだろうか?
もちろん素直に信じてはくれない可能性も考えたけれど携帯の中身なんて完全にプライベートなモノだ。
すぐにでも返して欲しくて腕を伸ばすとなんとか携帯電話を取り返すことに成功した。
「…事務所がどうとか…新曲がどうとかってメールがあったんだけど…なに、アンタ…まさか『REI』と知り合いだったりするわけ?」
「!」
「え、『REI』って今チョー売れてる歌手じゃん!」
「た、たまたま…だよ。…たまたま道を聞かれて答えたらアドレス交換をすることになって…メル友みたいな感じで連絡を取り合ってるだけ、だから…」
「えー、良いなぁ!羨ましい!」
売れっ子のREIのことだから同い年ぐらいの彼女たちが知っていても別におかしくはなかった。寧ろ今人気沸騰中の歌手だから知らない子のほうが少ないだろう。
だけど、ただ羨ましがるだけで終わるなら良かったのだが今まで私のことを虐めの標的にしていた彼女たちはいきなり手のひらを返してきたのだ。
「ねぇ~、友達の友達ってことで紹介してくれない~?」
「私たち、友達でしょ~?」
「REIってどんな子なの?やっぱりすっごく可愛い?」
REIとメールをしていることをなるべく周囲に知られたくなかったのはこういった子たちが増えると思ったからだ。
もちろん今まで私のことを虐めていた子たちのことを一瞬でも友達だなんて思ったことはなかったし、REIのアドレスも簡単に教える気になど無かった。
「…駄目、だよ。私だってREI本人からアドレス交換しようって言われたし…いきなり知らない子からメールが来たら誰だってびっくりするよ…?」
「ケチ!使えないわね!」
「REIと知り合いになれれば格好良いモデルとも出会えるかもしれないって思ったのに~!」
やっぱり裏があった。
純粋に彼女たちはREIと仲良くするつもりなんて毛頭無いらしい。REIと仲良くするとはあくまで建前で、本当はモデル業をしている男性との出会いを求めているようだった。そんな邪な考えを持っているのならば尚更アドレスを教えるわけにはいかない。
「そ、それじゃ…私、帰るから…」
「……あー、はいはい。さっさと帰ればー」
私が誰とメールをしているのかということに関しては興味を失ってしまったらしく、私が帰る素振りを見せれば顔も向けることなく素っ気ない言葉を返してきた。
今日は、虐めらしい虐めに遭うことはなかった。
REIのアドレスを無理やりに教えられるハメになるかもしれないと一瞬思ってしまったけれど彼女たちはそこまで強引な考えを持っていなくて良かった。
でも、これで分かったことがある。
友達って一体どんな存在なの…?
ただ必要なときに利用して、利用されて…。
そして、必要が無くなったときには手のひらを簡単に返してしまうようなものが友達だと言えるのだろうか?
でも、それはREIにも言えることだ。
REIは私と友達になりたいと言ってくれた。その言葉を疑うようなことはしたくなかったし、とても心に響く言葉だったから本心だったと思う。だけど、REIはいつも忙しく学業と音楽業界を過ごしているような人だ。
今は頻繁にメールのやり取りをしているけれど、もしも私とのメールのやり取りがREIにとっては単なるストレス発散のための一つの手段だとしたら…私とREIは友達と言える関係になっているのだろうか?
知らないうちにまたREIからメールが届いていた。
『麗華お疲れ~!今日もこれからレコーディングだよ~。正直、へとへと~。でも、応援してくれてる人が一人でもいるなら応えてあげなきゃね!今日もまだまだ頑張ってきまっす!』
私は、頑張ってと応援するメールを送ることしか出来なかった。
だって、今まで友達らしい友達をつくったことが無かった私には余計にどんなふうにメールをすれば良いのか分からなかったから。
友達とのメールってどんなことを言えば良いんだろう?
REIはきっと多くの友達がいるはずだ。愚痴を溢すようなメールを届ける人なんていくらでもいるだろう。
愚痴を私に明かしてくれているということは少しでも…友達として考えてみても良いのだろうか?
結局その日のうちにREIからのメールは無かった。
きっとレコーディングとやらで忙しいのだろう。先日、新曲のメロディーと詩が上手く噛み合わないということでスタッフと揉めていたこともメールで話していた。
きちんと食事は摂っているんだろうか?
睡眠も…毎日きちんと眠れているんだろうか?
私は家に帰ってから寝付くまでずっとREIの生活のことばかりを考えては悩み、心配することを繰り返していた。
それも、私が学校に向かう登下校中であろうと授業中であろうとなかろうとそんなこと関係なしにメールを送ってくるものだからついつい携帯を取り出し、授業中には特に先生にバレないように気をつけながらREIとのメールを楽しんでいる。
ただ、最近私が頻繁にメールのやり取りをおこなっていることを知った周りの人たちは私の行動が気に食わなかったらしく、早速行動にあらわれるようになってきたのだ。
「ちょっと、良い?」
「アンタ、最近誰とメールしてんのよ?」
「クソ真面目なアンタが授業中でもメールしてるのは分かってるんだからね?」
虐めをしてくる人たちの特徴の一つに集団という特徴がある。
個人個人で虐めを仕掛けてくることはまず有り得ない。
これは、私が中学生のときから学んだことだった。
所詮、人は一人だけでは虐めをすることも出来ないんだろう…。
「ちょっと!聞いてるの?!」
「チョ~、生意気なんだけど!携帯、見せなさいよ!」
ただでさえ近い距離を更に詰められてきた女子生徒の一人が私の制服のポケットに入っている携帯を簡単に手に取り出してしまうと手馴れた手付きでメールの送受信画面を開いていけば宛先に『REI』という文字を見つけると怪訝そうな顔つきになった。
「…ねぇ、このREIって誰?」
「さぁ?ウチの学校にこんな名前の子なんていないんじゃない?」
「!ね、ネットで知り合った子だよ!お願い返して!」
基本的にインターネット上のチャット場で知り合った子とは個人的にメールのやり取りをすることはあったけれど、それはパソコンのアドレスを使ってのやり取りだったから携帯を使って連絡のやり取りをすることはしていなかった。
もしもREIと知り合いになっていた、友達になっていたということが知られれば彼女たちはどう思うだろうか?
もちろん素直に信じてはくれない可能性も考えたけれど携帯の中身なんて完全にプライベートなモノだ。
すぐにでも返して欲しくて腕を伸ばすとなんとか携帯電話を取り返すことに成功した。
「…事務所がどうとか…新曲がどうとかってメールがあったんだけど…なに、アンタ…まさか『REI』と知り合いだったりするわけ?」
「!」
「え、『REI』って今チョー売れてる歌手じゃん!」
「た、たまたま…だよ。…たまたま道を聞かれて答えたらアドレス交換をすることになって…メル友みたいな感じで連絡を取り合ってるだけ、だから…」
「えー、良いなぁ!羨ましい!」
売れっ子のREIのことだから同い年ぐらいの彼女たちが知っていても別におかしくはなかった。寧ろ今人気沸騰中の歌手だから知らない子のほうが少ないだろう。
だけど、ただ羨ましがるだけで終わるなら良かったのだが今まで私のことを虐めの標的にしていた彼女たちはいきなり手のひらを返してきたのだ。
「ねぇ~、友達の友達ってことで紹介してくれない~?」
「私たち、友達でしょ~?」
「REIってどんな子なの?やっぱりすっごく可愛い?」
REIとメールをしていることをなるべく周囲に知られたくなかったのはこういった子たちが増えると思ったからだ。
もちろん今まで私のことを虐めていた子たちのことを一瞬でも友達だなんて思ったことはなかったし、REIのアドレスも簡単に教える気になど無かった。
「…駄目、だよ。私だってREI本人からアドレス交換しようって言われたし…いきなり知らない子からメールが来たら誰だってびっくりするよ…?」
「ケチ!使えないわね!」
「REIと知り合いになれれば格好良いモデルとも出会えるかもしれないって思ったのに~!」
やっぱり裏があった。
純粋に彼女たちはREIと仲良くするつもりなんて毛頭無いらしい。REIと仲良くするとはあくまで建前で、本当はモデル業をしている男性との出会いを求めているようだった。そんな邪な考えを持っているのならば尚更アドレスを教えるわけにはいかない。
「そ、それじゃ…私、帰るから…」
「……あー、はいはい。さっさと帰ればー」
私が誰とメールをしているのかということに関しては興味を失ってしまったらしく、私が帰る素振りを見せれば顔も向けることなく素っ気ない言葉を返してきた。
今日は、虐めらしい虐めに遭うことはなかった。
REIのアドレスを無理やりに教えられるハメになるかもしれないと一瞬思ってしまったけれど彼女たちはそこまで強引な考えを持っていなくて良かった。
でも、これで分かったことがある。
友達って一体どんな存在なの…?
ただ必要なときに利用して、利用されて…。
そして、必要が無くなったときには手のひらを簡単に返してしまうようなものが友達だと言えるのだろうか?
でも、それはREIにも言えることだ。
REIは私と友達になりたいと言ってくれた。その言葉を疑うようなことはしたくなかったし、とても心に響く言葉だったから本心だったと思う。だけど、REIはいつも忙しく学業と音楽業界を過ごしているような人だ。
今は頻繁にメールのやり取りをしているけれど、もしも私とのメールのやり取りがREIにとっては単なるストレス発散のための一つの手段だとしたら…私とREIは友達と言える関係になっているのだろうか?
知らないうちにまたREIからメールが届いていた。
『麗華お疲れ~!今日もこれからレコーディングだよ~。正直、へとへと~。でも、応援してくれてる人が一人でもいるなら応えてあげなきゃね!今日もまだまだ頑張ってきまっす!』
私は、頑張ってと応援するメールを送ることしか出来なかった。
だって、今まで友達らしい友達をつくったことが無かった私には余計にどんなふうにメールをすれば良いのか分からなかったから。
友達とのメールってどんなことを言えば良いんだろう?
REIはきっと多くの友達がいるはずだ。愚痴を溢すようなメールを届ける人なんていくらでもいるだろう。
愚痴を私に明かしてくれているということは少しでも…友達として考えてみても良いのだろうか?
結局その日のうちにREIからのメールは無かった。
きっとレコーディングとやらで忙しいのだろう。先日、新曲のメロディーと詩が上手く噛み合わないということでスタッフと揉めていたこともメールで話していた。
きちんと食事は摂っているんだろうか?
睡眠も…毎日きちんと眠れているんだろうか?
私は家に帰ってから寝付くまでずっとREIの生活のことばかりを考えては悩み、心配することを繰り返していた。